水のトラブル

食道の奥には、巨人の胃ぶくろがあるにきまっています。三人は、その胃ぶくろのほうへ、おし流されているのです。たべたものが、水のトラブルにはいれば、胃液のために、とかされてしまうのです。君たちは、学校でおそわって、そのことをよく知っていました。じぶんたちも、いまに巨人の胃ぶくろにはいって、にがい胃液につかって、からだがとけてしまうのかとおもうと、もう、気が気ではありません。なんとかして、水の流れにさからって、のどのほうへ出ようともがきましたが、なんのかいもありません。ただ、奥へ奥へと流されていくばかりです。そして、あっとおもうまに、いままで明るかったあたりが、とつぜん、まっ暗になり、水の流れといっしょに、深い穴の中へおちこんでしまいました。そこが巨人の胃ぶくろなのでしょう。胃ぶくろは、すきとおっていないので、中はまっ暗です。流れおちて、もがきながら、立ちあがってみますと、水はひざまでもなく、もうおし流される心配もないようです。三人は、たがいにさぐりよって、ひとかたまりになり、やみのなかで、ひしと、だきあっていました。でも、いまにも、にがい胃液が、どっと流れだしてきて、とかされてしまうのではないかとおもうと、生きたここちもないのです。そのとき、やみの中に、パチャ、パチャと水の音がしました。だれかが、水の中を歩いているようすです。